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大阪地方裁判所 昭和50年(ワ)1227号 判決 1977年1月21日

原告

株式会社昭和精密製袋機製作所

右代表者代表取締役

大内芳夫

右訴訟代理人

三木一徳

外二名

被告

冨士製袋機工業株式会社

右訴訟代理人

上原洋允

外四名

主文

被告は原告が製造販売した別紙(一)(イ)号図面及び同説明書記載の封筒輪転製袋機が登録第三一〇四四二号特許権を侵害してなされたものである旨を陳述し、または流布してはならない。

原告のその余の請求を棄却する。訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。

事実《省略》

理由

一〜六<省略>

七原告が各種製袋機等の製造販売を、また被告が製袋磯等の製造販売をそれぞれ業とする株式会社であること、被告が原告の製造販売する封筒輪転製袋機が本件特許権の権利範囲に属すると主張して昭和五〇年二月五日付の「通知書」と題する内容証明郵便によつて右機械の製造販売を直ちに中止せよと要求するとともにこれに対して誠意ある回答がなければ法的措置をとる旨を付言し、更に原告の取引先である訴外会社に対しても同月六日付の書面をもつて、前記機械が本件特許権の侵害品である旨通告するとともに原告に対する右通知書の写を同封し、右機械の購入、使用の中止方を要求したことは、いずれも当事者間に争いがない。

原告の製造販売する(イ)号機械が本件特許権の技術範囲に属しないこと前記のとおりである以上、被告の右通知の虚偽であることは明らかであり、また、右通告が(イ)号機械に関する原告の営業上の信用を害するものであることも、右通告の内容自体からして明らかである。

そして、被告が右のとおり原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を記載した書面を原告の取引先に送付し、且つ現在においても(イ)号機械が本件特許発明の技術範囲に属する旨を主張していることその他弁論の全趣旨を総合して考えると、たとえ本件特許権の存続期間が昭和五一年七月一八日限り終了したとはいえ、将来においても被告が(イ)号磯械が本件特許権を侵害して製造されたものである旨の虚偽の事実を陳述し、またはこれを流布して原告の営業上の利益を害する虞は十分あるものと認められる。

右の事実によれば、原告の被告に対する虚偽事実の陳述流布行為の差止請求は理由がある。

八、九<省略>

(大江健次郎 小倉顕 北山元章)

別紙 <省略>

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